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矢田部亮一さんの投稿

TPPの誤訳
平成28年2月5日
矢田部亮一

 「環太平洋戦略的経済連携協定」或いは「環太平洋パートナーシップ協定」と呼ばれるTPP参加12ヶ国が昨日協定に署名した。尽力された甘利大臣は残念であったろうが署名迄漕ぎ着ける事が出来たのは(私はTPP反対論者ではあるが)ご同慶の至りである。しかしながらTrans Pacific Partnersを前述の如く環太平洋云々と訳すのは誤訳である。環太平洋であればPacific Rim或いはPan Pacificであろう。
 元々TPPはシンガポール、ブルネイ、ニュージーランド、チリの4ヶ国が2005年に締結した経済協定であるが、当時日本では大きく報道されず、私は勿論、誰もそんなものがある事を知らなかった。
 ところで、シンガポールの通貨はシンガポールドル(S$)で、ブルネイはリンギブルネイ(RB)であり、この二国の通貨は完全ペッグ制を執っている。すなわち常にS$1=RB1である。よってこの二国は同一経済圏と言って良い。両国とも国土が狭く農業が活発でないため、食料品の殆どを輸入に頼っている。シンガポールは水もマレーシアから買わざるを得ない。
 一方、チリとニュージーランドは農産品輸出国であり、安定的に輸出できる相手国が必要である。よって買手と売手の思惑が一致し協定を作る事となった。しかしTPPが包括的FTAであったことが後の騒ぎを起こす元となった。チリとニュージーランドは工業製品であれサービスであれ、自身で生産出来ず何処からか輸入しなければならないので包括的FTAとする事に異論はなかった。
 Transは訳出が難しいがランダムハウス英和辞典によれば「~の向こう側へ、(across) ~の通過(through)、」等がある。要するにTransは直線であり、昔TrasAm (Trans America)という車があったが、これも米大陸を高速で一直線に駆け抜けるイメージを表している。同様にTPPの4ヶ国は世界地図で結ぶとほぼ直線になるためTrans Pacific Partnersと命名したものと思われる。
 TPPをややこしくしたのはバックに農業票を持つオバマ大統領である。農産品の輸出増を企図してTPPに入ると言い出した。しかしTPPを始めた4ヶ国では市場が非常に小さい。よって何とか日本を引っ張り込もうとしたのはご承知の通り。(日米で12ヶ国のGDPの総和の約8割を占める。)すなわち日本が加入しなければ米国に利益は無い。よって木っ端役人がアメリカ様のご意向に少しでも沿うよう「環太平洋」と意図的に誤訳し、日本も加入するのが当然だという雰囲気を醸成した。
 意図的な誤訳としてはUN (United Nations)を本来の意味である「連合国」と訳さず「国際連合」と訳した事が有名である。これが日本人の国連崇拝という誤った信仰を生み出した。いずれにせよ、巷に氾濫する外来語や翻訳語も、たまには辞書をひいて騙されないように気を付けましょう。


 


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