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まち だより
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なんちゃってピアニスト
 施設でお世話になっている母に会いにいくたびに、たいして上手くもない素人ですが、ピアノを弾いております。なんせ、その施設はワンフロアーにピアノが3台も置いてあり、思わず職員の方に「弾いても構いませんか?」と聞いてしまいました。ピアノを弾き始めた最初の頃は、入所者の娘が弾いてるとは知らず「えっ、誰が!誰がピアノを!」とスタッフの方が、パタパタと走ってくる音がしていました。きっと若い頃のスキルを忘れずにいる認知症の誰かが、突然弾きだしたと思われたのかもしれません。
 そのうち、私が弾きだすと、車椅子の方々が回りに集まってくださるようになりました。先日、おばあ様に「バラが咲いたを弾いてくれない?」と初めてリクエストをされました。私が小学校の頃に流行った「マイク真木」の歌だとは知っていても、すぐに弾けるわけがありません・・・。しかし、いつも持ち歩いてる「歌って弾ける日本のポップス名曲集」をパラパラとめくってみると、なんとあるではありませんか!早速弾き始めると、突然その方が歌いだすので、気分はまるでスタジオ・ミュージシャン。
 音楽で母に元気になってほしいと思うようになったのは、3年前に大動脈乖離で倒れた母がICUに運ばれたとき、4日後に音楽で意識が戻ったという経験があったからです。「耳は聞こえてますから、できるだけ呼びかけて」との看護士さんの声に押されて、母の大好きな「もしもピアノが弾けたなら」と「アメージング・グレース」の2曲を私が弾いてスマホのボイスメモに録り、その名演奏を耳元で聞かせたのです。こんな技を使う私ですが、実は小さい頃はピアノレッスンが嫌で嫌で、泣きべそばかりかいては母に叱られていました。それが、今や歌謡曲から民謡まで、手を変え品を変え必死に母に弾いて聴かせているのですから、人生とは不思議なものだとしみじみです。
(写真と文 町田香子)
 


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