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  時の話題


  新刊紹介
  「私たちは宇宙から見られている?」(Are we being watched?)
    「地球外生命」探究の最前線
      
Dr. Paul Murdin著、古田 治訳

KDD OBの古田治さん翻訳の近著が刊行され、小川明義さんに紹介していただきましたので以下に掲載します。



紹介者:小川 明義    

 私達は、幼少の頃はもとより年令を重ねてからも、『宇宙の果てにはもう一つ地球があって、そこにはきっと人間に近い宇宙人がいる。 そして、何時かは彼らに会うことができる』と、そんな楽しい夢を抱きながら星空を見上げることを楽しんできました。 

 この度、英国を代表する天文学者で、欧州天文学会会長や王立天文学会代表幹事等を歴任し、天の川銀河内での最初のブラックホールを発見したDr. Paul Murdinの著書「Are we being watched?」をKDD OBの古田 治さんが翻訳され、「私たちは宇宙から見られている?」と題して日本評論社から出版されました(定価2800円+税、319ページ、B5ハードカバー版)。 
 近年の多種多様な探査衛星等による宇宙観測技術の発展により、これまではSF小説や映画の中でしか語られなかった地球外生命に、我々は何時・何処で出会えるのか? 現在、何がどこまで分かっているのか? そして更なる探求に必要なKeyは? 等々、我々の抱く疑問に対し、本書は天文学、物理学、生物学、化学、地質学などあらゆる科学的見地から、唯一好例である地球の起源をたどり、地球の誕生、原始生命体、真核生物の誕生、進化の条件などを詳しく述べて生命が地球以外に存在する可能性の有無を探ろうとするものです。 
 とても内容豊かで興味深い著作なので、以下にその概要を紹介させて頂きます。


「私たちは宇宙から見られている?」(Are we being watched?)
「地球外生命」探究の最前線
Dr. Paul Murdin著、古田 治訳

序 章 新大陸を求めて
第1章宇宙生物学の世紀
第2章異なる世界
第3章地球外生命体を求めて
第4章太陽系の中の生命
第5章地球、この生命の揺籃
第6章原始生命体
第7章生命誕生の瞬間
第8章惑星の進化
第9章生命の進化
第10章太陽 - 活力の源泉か、死の招来者か
第11章生命と気候
第12章大災害を考える
第13章火星 - 死んでいるのか生きているのか
第14章氷の世界 - エウロパ
第15章古代地球に似る土星衛星 - エンケラドゥスとタイタン
第16章私達は本当に孤独なのか

 16の章がそれぞれに独立した内容なので、通しの要約というよりその幾つかを紹介することとしたい。

◆太陽系外における生命体存在
 生命体が太陽系の大半の惑星や衛星の何処かに存在するなら、その生息地に我々が有人の宇宙船で到達できるようになるのは然程遠い将来ではないであろう。 現に、無人探査機であれば、既にボインジャー1,2号機が太陽系から離脱する距離にまで至っている。 
 ところが、太陽系外の惑星まで有人飛行をするとなると、我々から最も近い恒星でも4光年先であるため、仮に光の速さで飛行できても到達に4年を要する。 光速とは比較にならぬほど低速の宇宙船なら4光年先の恒星までの飛行に4年の何十~何千倍の時間が必要である。 よって、(遠い将来はさて置き)取りあえず有人での到達は不可能という結論に至る。 
 しかし、出会うのは不可能だけど、コミュニケーションなら電波を使ってできるかも知れない。 宇宙からの電波信号に聞き耳を立てることである。 この試みは早くから行われてきた。 しかし、残念なことに、これまでのところ地球外生命体からの信号と思えるもの未だ受信できてはいない。

◆太陽系内における生命体存在
 地球の生命体が存在できる領域をバイオスフィアと呼び、地殻と地球大気との間の薄い地表層のことである。 また、地球に水が存在するのは、地球が太陽から適度な距離にあることによる。 太陽系惑星には、表面に水が容易に維持できる太陽からの適度な距離(ハビタブルゾーン)が存在する。 これには、太陽系の惑星が真円に近い公転軌道(公転による太陽から受ける温度変化が小さい)であることも必要である。 太陽系には8個の惑星、その惑星を巡る300個の衛星、数百万個の小惑星、非常に多くの彗星がある。 この中でハビタブルゾーンに含まれるのは2つの惑星(地球と火星)、3つの衛星(月と、火星の2つの衛星)と概ね円軌道を描く幾つかの小惑星である。 これに加えて、火山熱などによるローカルな生命可能領域「ハビタブルニッチ」を持つ衛星もあると考えられている。

◆生命体誕生と存続の条件
 生命体が存続を維持できる、或いは進化できるためには、その惑星が岩石性表面を有し、適度な熱エネルギーを保持し、大気に覆われている環境が何十億年という極めて長い時間の流れの中で比較的平穏であることが欠かせない。 探査機が直接調べることができる太陽系の中では、上記ハビタブルゾーンとハビタブルニッチに含まれる天体として、火星とその衛星のほか、木星の衛星エウロパ(先日NASAが「重大発表」した天体)や土星の衛星エンケラドゥス、タイタンがあり、これらについてはそれぞれ一章があてられ詳述されている。 中でも火星の隕石からは生命体の痕跡らしきものが見付かっているが議論があり確定はされていない。 一方、銀河系全体として我々に対して通信可能な系外惑星がどれほどあるかについては、天文学者フランク・ドレークによる定式化(ドレーク方程式)の試みについて詳く議論がなされている。 世界の唯一性に関する、古代・中世の人々の考え方の変遷や、キリスト教教義との摩擦なども紹介されている。

◆地球上の原始生命体
 地球の年齢は40数億年だと考えられている。 地球上で最も初期の生命体は宇宙の至るところで作られたプレバイオティク化学物質に最も近く、これらは恒星の近くで精巧に仕上げられ、彗星や小惑星によって地上へ運ばれた(この生命誕生と他の星への伝搬は宇宙の何処でも同じであったと考えられる。)。 偶然地球というハビタブルゾーンに移植された原始生命体は、安定した進化の過程を経て真核生物に、更には高等生物へと進化していった・・・とするパンスペルミア仮説(胚種広布説)は、生命の地球起源を主張する別の有力説であるウオーム・ポンド説と拮抗する。 

◆我々は本当に孤独なのか
 生命体は宇宙の至る所に存在するがもしれないが、「地球は知的生命に有利な、他には無い僥倖に恵まれた」との考えに立てば、地球外に知的生命体が存在することは極めて稀だということになろう。 何れにしても、(天文学の2000年の努力を以てしても、)地球外知的生物の存在の是非は決め難い。

以上  

-最後に-
 古田さんは、昭和49年KDDに入社、研究所、本社、ワシントン事務所等を歴任され、現在は科学技術分野の翻訳活動をしておられます。 また、古田さんは、英国出身の地球科学者Dr. Chris Turney著の「骨・岩・星」(Bones, Rocks and Stars)[科学が解き明かす歴史のミステリー]の翻訳本も2013年に日本評論社から出版されました。 こちらも、今回の本と同じように、物理学、天文学、地質学、化学、古生物学、考古学等を総動員して、アーサー王伝説を始め、恐竜絶滅、ピラミッド、地球誕生等々の歴史上の謎を解き明かしていくものです。 
 同書もとても楽しく拝読しましたので、極めて簡単ですがこの機に併せて紹介しておきます。

 古田さんとは、研究所時代の10年ほどを一緒に過ごしたことから近況報告で送って頂いた著作を皆様にご紹介した次第です。



 


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