名曲ピックアップ

 
ヘンデル 
水上の音楽
組曲第5番HWV430
第1組曲 ヘ長調 HWV 348(00:00:23)
第2組曲 二長調 HWV 349(00:29:36)
第3組曲 ト長調 HWV 350(00:40:38)
付録 組曲第5番(00:50:42)*
ポール・クレンツ室内楽団
*チェンバロ:ポール・クレンツ

G. F. Händel (1685-1759)
Water Music
Orchestre Paul Kuentz
 
 もうすぐ梅雨が明けて夏がきます。今回は、ヘンデルの代表作である水上の音楽をピックアップします。ポピュラーな名曲ですが、改めてじっくり聴いてみてはいかがでしょうか。
 なお、YouTubeにチェンバロ独奏の組曲第5番が付属しているものを見つけましたので、これを参照します。
 
 
(楳本)
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ラテン音楽のお話し (No.2)  

by Kuno Joaquín Casimilla

ベッサメ ムーチョ Bésame mucho

 世の中、相変わらずコロナ、コロナと緊張しています。其れはさておき、早速講義にはいりましょう。

 ラテンアメリカ音楽(以下ラ米音楽と言います)の話をする場合、二通りの話し方があります。一つは、すべてのラ米音楽のルーツをたどり、その後発展しながら各国々や地域に分派し、そこでさらに特徴を持ったものに発展していったというようなことや、リズムは何分の何拍子だとか、どんな楽器が使われるかなど、学術的に学ぶ話です。私が大学で勉強したのはこの方式でしたが、あまり面白くありません。二つ目は、日本人にもよく知られた人気のある曲をとりあげ、作詞・作曲者はどんな人だとか、題名や歌詞の意味をささやかながら解説したり、曲にまつわるエピソードなどを紹介する方法です。私は後の方法で行こうと思います。ということで、ラ米地域の一番北のメキシコから始めたいと思います。

 

「ベッサメ ムーチョ」 
 ベッサメとは、”くちずけをする”という動詞besar(ベサール)の二人称命令形besaに、一人称の直接目的語meを付けた形で、「私にくちずけをして」、という意味です。後ろにmeがついたためアクセントの位置が繰り上がり正常位置ではないeの上に来るので、アクセント記号を付けます。普通はベサメと書きますが、正確にはアクセントをつけるため、ベッサメです。ただ、日本語は言葉の最初にアクセントがくるのでベッサと書かなくても自然に”ベ”にアクセントがつくのでベサメと書いてもベッサメになります。ベサメに似た言葉で、besana(畑の畝の溝)がありますが、この場合はアクセントの位置は文法通り後ろから2番目の母音 a にあるので記号は不要です。発音はベサーナです。 ムーチョは、もうご存知の”沢山”という意味です。

 音楽の著作権有効期間は世界の大多数の国は作者没後50年間です。あらゆるジャンルで、古い有名な曲で著作権の切れた名曲は沢山ありますが、アルゼンチンタンゴの名曲ラ・クンパルシータもとっくに50年以上たっていますから、世界中の誰でもが、どこでもいつでも自由に演奏できます。
 地球はいつもどっかが昼で反対側は夜です。昼も夜も世界中のどこかでラ・クンパルシータが演奏されていると言われています。それと同じ位に演奏されていると言われているのが、ベッサメ ムーチョです。日本人も大抵の大人は知っているでしょう。この歌を知らずに、ラ米音楽云々というなかれと言っても言い過ぎではありません。この歌は、ピアニストで歌手のコンスエロ・ベラスケス・トーレスという女性が1941年に発表した歌です。コンスエーロと末尾が 0 で終わっている名前は男性名詞なので私は、てっきり男性だと思ったら、女性の名前でした。辞書にもわざわざ「女性の名前」とでています。

 日本では1953年にトリオ・ロス・パンチョスが来日して歌って一挙に流行しました。有名にはなりましたが、初めはダンスホールのチーク・ダンス(今の若者は知らない言葉かもしれません)向きの曲との印象が強かったものです。日本語の歌詞が「もっと キスして、・・・もう一度、もう一度かわすくちずけ・・・・」などといかにもダンス向けに訳されていたし、メロディも甘ったるい調子です。しかし、原文の歌詞を読むと、、「今夜が最後の夜になるかもしれない・・・ 」とか「君を失うのが怖い・・・」とか「明日は多分、僕は君からうんと遠く離れた場所にいるだろう・・・」という意味になっています。私は日本語訳と原文は違うな、とは思っていました。訳は自由ですけど。

 それが、NHK・FM放送のディスク・ジョッキーを長年やっていた竹村 淳さんの書いた『ラテン音楽 名曲 名演 名唱 ベスト100 (1999.10発行) 』 という本を読んで、そうかと目から鱗が落ちました。つまり、コンスエロが女友達の恋人を病院へ見舞いに行った折、友人にせがまれて作ったものだというのです。友人の彼氏はいまわの際にあり、今生の別れに彼女にくちずけを求めていた様子を表したものだとというのです。それならば、「君を失うのが怖い・・」とか「遠くに離れた・・・」もつじつまが合います。納得がいきました。ただ、このエピソードが本当かどうかは、著者にも自信がないと書いてあります。

 そもそもメキシコ音楽の走りは、1519年スペイン人のエルナン・コルテスの侵入が発端です。ギターの伴奏でスペインの音楽が沢山はいってきました。サパテアード、コリードとか他にも沢山あります。メキシ湾岸のベラスコス州のソン・ハロッチョは米国ですっかり根を張りました。ベッサメ・ムーチョはボレロですが、日本ではマリアッチも知られています。マリアッチはハリスコ州生まれの音楽でメキシコを訪れる観光客は誰もが一度は聞くでしょう。正式にはガリバルデイ広場と言いますが、通称マリアッチ広場と呼ばれる広場には夕闇の訪れと共にどこからともなく、横に縞の入ったズボンにソンブレロを被ったマリアッチの制服を着た楽士が集まってきます。メキシコシティへ行ったら一度はこれを見ないと行った価値はないでしょう。民芸品でも音楽ものはマリアッチ楽団の陶器の人形が人気です。実際の編成は7~9人位ですが、土産屋に売っているのには7人構成です、6人になっているのは割れたりして減った欠陥品だと店の人は言います。最低7人で一組でなければならないそうです。 
 
 メキシコは日本から一番近いラテンアメリカです。フィリピンがラテンだという人がいますが、確かに、フィリピンはスペインに800年間もの間統治されていたので、ラテンと言えないこともありませんが、米西戦争で米国に負けて以来英語の国になってしまいました。今では、スペイン語は上流階級の中に僅かに残っているだけだと言われています。やっぱりアジアには合わないのでしょう。そういえば、マカオもポルトガル植民地だったけど、ラテンとの結びつきは聞いたことがありませんでした。メキシコは直行便もあるので行きやすいし、ここを足掛かりにして、ラ米音楽のルーツとも言われているキューバへ行くのもいいものです。真っ青なカリブ海を見下ろしながら1時間足らずです。 今回はこの辺で 次回まで さようなら (つづく A continuación)

2020.7.5

 

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