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このページには、「サテライト会」の最新の活動情報を掲載します。
これまでのサテライト会開催のご案内については、こちら を、また、これまでのサテライト会開催の模様については、 こちら をご覧ください。

 
 
平成30年サテライト会第2回(9月27日)の模様
遠藤会長の挨拶
平成30年度2回目のサテライト会は、9月27日に開催された。遠藤会長より、今回は、KDD研究所OBの若原 恭氏に、最近話題になっている「ブロックチェーン(Block chain)」という演題でご講演を頂くので、清聴をお願いしたいとの挨拶があった。今回は、講師の若原さんを含めて31名の参加があった。

稲垣幹事より、本日の講師の若原氏について以下のように講師紹介が行われた。

若原 講師
講師の若原氏は、1974年にKDDに入社し、研究所に配属され、ファクシミリの符号化方式・分散型ディジタル交換システム・通信ソフトウェア・ATM(非同期転送モード)・IN(Intelligent Network)・IPネットワーク技術等の研究開発に従事された。その後、1997年に本社・サービスシステム部/情報システム部兼務となり情報システムの開発に従事された。
1999年にKDDを退社し、東京大学情報基盤センター教授に着任。東京大学では、学内情報ネットワーク基幹部の構築・運用、及びネットワーク関連技術の研究に従事された。また、2000年に東京大学新領域創生科学研究科(基盤情報学専攻)兼務、2008年以降は東京大学工学系研究科(電気系工学専攻)兼務となり、学生の教育&研究に従事された。
2015年に東京大学を退官し、現在に至っていると紹介された。

若原氏の講演概要は以下のとおりである。

本日の講演では、昨今話題になることが多いビットコイン(Bitcoin: 以下BTC)等の仮想通貨の基盤技術であり、仮想通貨以外にも応用範囲が広く、産業や社会を一変する可能性があるとも言われている「blockchain(以下BC)技術」について、その技術の発展や応用の可能性も含め、概要を紹介する。

仮想通貨の定義については、未だ確定したものがなく、ここでは、国や法律での裏付けがなく、ネットワークを通して流通し、電子的方法によって記録される決済手段であるとする。BTCとは(仮想)通貨の名称をさすが、通貨BTCの単位でもあり、通貨BTCを扱うシステムや処理を行うソフトウェアという意味でも使われている。また、BCとは、取引の記録(情報)をまとめたblockの連なりであり、BTC等を実現するためblockの連なりを利用したシステムを意味することもある。

本日の講演は、右図のような構成に沿って説明を行う。
BCの本来の目的は、信頼できる第3者(国等)を必要とせず、当事者間での取引が可能な電子通貨(BTC)を実現することで、技術の目的としては、必ずしも信頼性が高くないネットワークに接続された複数のノードが同一のコンテンツ(情報)を持つ分散DBを実現する(『合意形成』)ことである。
BC(BTC)の特徴としては、P2P型の分散システムで、各ノードがサーバでありクライアントでもあって、PCや専用コンピュータ等の処理能力を持った装置上のソフトウェアによって実現されるもので、通貨発行機能があり、外から通貨が与えられることはない。また、ノード間の共同処理によって、正当な取引記録を確定(承認)でき、一旦確定した取引が非可逆(取り消しや変更が不可)で、通貨の2重使用が不可となっており、各ノードに全取引記録が格納されており、各ノードはいつでも自由にアクセスできることになっている。
このようなBC(BTC)の概念並びに技術は、2008年10月にSatoshi Nakamotoが "Bitcoin: A peer-to-peer Electronic Cash System" という論文を発表して注目されるようになり、2009年1月にBTCが実装され、Nakamoto氏が利用を開始したことが始点となっている。なお、この論文の著者であるSatoshi Nakamoto氏の正体は、今もって不明で、このBTC論文は、複数のメンバーによって作られたとする考えもある。

BTCの運営管理は、2011年にNakamoto氏から離れ、コミュニティに移ったが、2014/2015年頃からBTCの利用が大きく拡大し、それに伴ってトラブルも発生し、仮想通貨に関する各国規制機関の規制が始まった。2016年以降、BTCは投機的対象として利用者が増加し、BTCの高騰と分裂が続いており、セキュリティ事件等多様な課題が顕在化している。ただし、これに伴い、学術面での検討や研究も活発化している

この後、BC/BTCの仕組みについて、更に詳しい解説が行われたが、ここでは割愛する。

BC/BTCの中核機能として、通貨の所有者の名義変更では電子署名が使われていること、通貨の2重使用防止策としては取引の履歴を全てBCとして記録し、全ノードで保管して2重使用検査をしていること、取引記録の改ざん防止策としては複数の取引記録Trをまとめた各blockに直前blockの要約情報を含めてchain化することによって改ざんの困難化を図っていること、取引記録の唯一性の実現のため、『暗号パズル解』の計算(mining)を競争させて最も速いものに報酬(新規通貨発行+取引手数料)を与える仕組みを採用していることなどがあげられる。

なお、BTC/BCでは、参加者(ノード)の識別はBA (blockchain address)のみであり、参加者は、本人確認なしで任意個数のBAを持てるため、身元を明かすことなく取引が可能である。なお、各BAの取引履歴はすべて公開されているため、取引相手のBAとの関係は明らかになる。ただし、匿名化技術もあり、取引の流れを追跡不可能とすることも可能である。

BCの改善・拡張については、最初から最新までの全てのblockによって構成されるBCを漏れなく持っているのは大変なため、自ノードに関連するTrのみ検査する軽量ノードが2012年に導入された。BTCでは、ノードの参加は自由で、参加を管理する組織は存在しない。しかし、参加を管理する組織を設ける考え方もあり、public型、corporate型、private型の3種類に分けることも可能である。
BTCの取引記録を、契約を表すプログラムに変更し、プログラムを自立的に実行する拡張がスマートコントラクトである。このプログラムも公開され、公平に処理され、結果の正しさを随時検証可能であるが、プログラム自体の正当性は保証されていない。このため、ソフトバグにより、大規模な資金流失事件が発生している。PoWは、計算処理に要する稼働が大変なため、PoWに代わる概念の検討が進められており、PoS、PoI、PoC、DPoS等の代替策が提案されている。

BCの応用と動向では、現状、金融分野での応用が進んでいるが、その他の分野では開発・実証実験段階が多く、模索中である。また、法的な面の検討や規制は、後追いの傾向にある。
さらに、BCによって、裏付けとなる信頼や資産等なしに、価値や権利の状態や履歴を全関係者の間で共有し更新する分散システムの実現の可能性が出てきた。ただし、BCは、総合的には未成熟であり、多様な目標のtradeoffの存在を考慮すると、BCによる社会変革の実現には技術課題だけでも、安全性の確保、規模拡大・性能向上、確度の高い合意形成アルゴリズム、仮想社会と現実世界のリンク等課題が山積している。
応用サービスや投資的な側面のstartup / 実証実験から実務重視の運用開発や学術的研究まで、BCに関する取り組みは世界的に多様化かつ活発化しており、その健全な成果と発展に期待したい。

講演の後、BCの安全性の担保問題、最初のBTCの所有者、現実の法定通貨とのレート、BTCの発行元の数等に関する活発な質疑応答が行われ、参加者の今回の講演のテーマに関する関心の高さを実感した。

次回のサテライト会講演会は、本年12月頃の開催で、講師としてKDDIの松永氏を予定しており、5Gサービスの動向について講演してもらう方向で調整している。



 


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