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最近読んだ本
  原田マハ 『楽園のカンヴァス』

島崎 陽子  

 贋作か真作か、息を呑む場面である。
 原田マハ『楽園のカンヴァス』 アンリ・ルソー《夢》にまつわるミステリー。
 どこまで史実でどこが創作か、その辺の想像にも夢想が広がり、楽しい一冊だった。

 解説者が高階秀爾にはまず驚いた。これほどの超一流の専門家が解説者である本を手にしたのは初めてといっていいくらいである。

 物語は大原美術館のシャバンヌ《幻想》から始まる。ピカソの《鳥籠》も登場し絵画の世界へ引き込まれていく。

 ルソーには私はこれまで感情をゆさぶられたことがない。惹きつけられたこともない。だが、今《夢》を目にして、ルソーとヤドヴィカとの関係を知るにつれ、それが小説の中では創造上の関係であったとしても、これまでとは違った奥行きが見えてきて鬱蒼と茂る森のなかでの幻想的な花々や真っ白な月、ソファーに横になるように座って左指をさしているヤドヴィカに魂が吹き込まれてきたのを感じている。
 批評家や同僚からは嘲笑の的になっていたルソー、生前には見向きもされなかったルソーがピカソからは高く評価されていて、天才性を認められていた。ピカソのルソーに向けられた思いもこの小説の読みどころのひとつだと思う。

 「情熱」「絵が生きている」終盤に書かれているこれらの言葉が心に響く。

 そして登場人物二人、早川織絵とティム・ブラウンの関係。ティムが惹かれていくオリエの魅力、ハッピーエンディングを思わせる終楽章に乾杯して読了。
 ニューヨークとバーゼルの設定にも心が躍りました。

 この後は『美しき愚かものたちのタブロー』が待っています。松方コレクションをテーマにした小説です。
(2019.10.5)

 
 


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