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サテライト会
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サテライト会の模様

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令和2年サテライト会最終会合(10月14日)の模様


 現体制による最後のサテライト会は、衛星通信技術の標準化活動の第一線で活躍されている三菱電機の阿部宗男氏(KDDI OB)ならびにKDDIの河合宜行氏を講師に迎えて、10月14日に24名の参加を得て四谷地域センターで開催された。

 会合冒頭に遠藤会長より、現体制による最後のサテライト会を本年3月に企画していたが、コロナ感染拡大のため延期を余儀なくされ、その後もコロナ感染の動向を睨みながら、数次に亘って会合開催に向けて準備を進めてきたとした。今回、感染対策に万全の対応を図るべく、TV会議形式による開催も検討したが、本会は、衛星通信分野の関係各位の懇親を図ることも大きな目的であることから、恒例となっていた会食を外した講演会のみでの開催とした。会場からの制約により参加人数も制限をせざるを得ない状況になったが、本日阿部氏&河合氏を講師にお招きして会合を開催できる運びとなり、喜びに堪えないとの挨拶があった。特に、今回の地域センターの会場確保にあたっては、新宿区在住の鎌田光惠氏に多大のご協力を頂いたことに謝意が表された。

 続いて、稲垣幹事より講師の阿部氏&河合氏についての紹介があった。
講師の阿部氏は、1978年にKDDに入社し、1996年まで衛星通信システムの設計&建設に従事した。その間1990~1992年にかけてインテルサットに出向した。その後、運用部、ソリューション事業本部で活躍された後、2008年に三菱電機に転籍された。KDDI&三菱電機を通じて、ITU-RおよびAPTの標準化活動に多大の貢献をされ現在に至っている。
河合氏は、1985年にKDDに入社され、以来衛星通信システムの設計・構築、衛星通信を含む国際ネットワークの運用保守等に従事されている。1993年~1997年にかけてインマルサット本部に出向した。2011年~2014年にかけて山口衛星通信センター長、2017年~2018年にかけてグローバルネットワークオペレーションセンター長を歴任され、現在グローバル技術・運用本部シニアディレクターとして活躍されている。

 講演では、本日の演題である「KDDIの衛星通信事業の現状とITU活動に見る衛星通信の動向」というテーマに沿って興味深い講話が繰り広げられた。
講演の第1部では、河合氏が、「衛星通信の歩みと現状」というタイトルで、KDD時代からの衛星通信の歩みと、衛星通信におけるKDDIの技術的な貢献、最近のKDDIにおける衛星通信利用の現状についての解説がなされ、これまで主流だった移動体衛星通信サービスに加えて、携帯電話基地局向けバックホールとしての衛星利用、災害時の船舶からの通信確保等で衛星通信の役割が再認識されているとの紹介があった。

 講演の第2部では、阿部氏が「KDDI関係者のITU活動状況」というタイトルで、衛星通信関連を中心に解説が行われた。ITUの組織、標準化活動における各組織ならびに重要会合の相互関係および役割等が紹介された。更に、ITUの標準化活動を中心に担っているITU-R、ITU-T、ITU-D活動における1990年代以降のKDDI出身の役職者の貢献の歴史が紹介された。また、ITUの最も重要な会合の一つであるWRC(世界無線通信会議)の役割および移動通信並びに衛星通信分野における重要な成果について解説が行われた。また、最近の動向として、WRCに向けた各地域機関(アジア・太平洋地域におけるAPT等)の役割と世界の各地域の動向についても解説が行われた。また、ホットな情報として、2019年10月11月にかけてエジプトで開催されたWARC-19の主要議題の紹介があり、この会合で河合氏が衛星通信関連の議題を審議するCOM5という重要会合の議長を務められたとの紹介があった。

 講演の第3部では、河合氏から「WARC-19の結果と今後の衛星通信の動向」というタイトルで、WARC-19の主要議題の審議動向の解説があった。WARC-19では、5Gサービスの本格サービス化に伴うIMT側の更なる周波数帯の追加分配の要求と、昨今の小型衛星を大量に非静止衛星軌道に配置する非静止衛星サービス(NGSO)の盛り上がりによるNGSO調整手続きの改訂、これらサービスの拡大により影響を受ける受動業務(地球探査衛星、宇宙研究、電波天文学)との間の干渉調整条件のせめぎあいが顕著になってきているとされた。また、APT関連で、阿部氏がWARC-23に向けて諸議題を審議するAPG副議長に就任したとの紹介があった。
また、今後の動向として、最近成層圏プラットフォーム(HAPS)を移動体業務の基地局に活用したいとして関心が高まってきているとの紹介があった。

 講演後は、出席者から活発な質問が寄せられ、予定時間をかなり超過するほど盛況な質疑応答が行われた。

 講演終了後、稲垣幹事より、今回のサテライト会を以って現行体制によるサテライト会が最後になるとして、2010年~2020年の間に開催されたサテライト会の講演テーマと講師の関係や参加者数の推移等が紹介された。また、サテライト会の会計報告が行われ、現時点の剰余金は、次年度以降に安田 豊氏を中心に発足する新体制に引き継ぎを行いたいとの提案がなされ、満場一致で了承された。

 この後、安田 豊氏から千葉正美氏、阿部宗男氏、井上正純氏等の協力を得て、これまでのサテライト会を改組して来年から新体制でいろいろな分野の若手の専門家を講師に招く形の勉強会を続けていきたいとの決意表明があった。詳細は、これから検討して発表したいとされた。

 長年にわたり会員の皆様には本会の開催にご支援、ご協力頂きありがとうございました。