暮らしの一口メモ

 

☆「恵方巻」に思う ☆

北野志津子

 新年を迎えたと思ったら、早くも一月末を迎えようとしています。インフルエンザが猛威を振るっていますが、皆さまお元気で猪年を過ごしていらっしゃいますか。
 さて、気になるニュースは盛りだくさんですが、例年この時期になると“風物詩”のように話題になります「恵方巻」を取り上げてみたいと思います。
 2月の節分に「その年の恵方を向いて無言で食べると縁起が良い」とされる太巻き寿司。「鬼は外、福は内」の威勢の良いかけ声どころではない販売合戦が始まっています。
 江戸から明治の頃、関西で節分を祝う行事として行われていたそうですが、最近ではすっかり全国区となり、スーパーやデパ地下などでの売らんかなという様相を見ると、その騒ぎに参加する気にはなれません。
 そうした商売の裏で、2割近くの売れ残りが廃棄されているという現実をTVニュースで知りました。美味しそうな寿司が大量に廃棄される画像は見ていられません。食事も満足に取れていない子ども達のために「子ども食堂」が全国的に拡大している状況の中で、2割もの巻き寿司が捨てられてしまう現実は悲し過ぎます。
 この事態には売れる季節商品を生み出そうとする企業の魂胆が見え隠れしています。また、流行り物好きな日本人の国民性も大いに関係していると思われます。
 既に定着しているクリスマスは別として、バレンタインデー、ホワイトデ-、ハロウィンなど外国の行事が商業ベースに乗せられている傾向は困ったものです。外国でひな祭り、端午の節句、七五三など日本の行事を商業ベースで取り上げる国はあまり聞きません。
 さすがに政府は、スーパーやコンビニ等の業界団体に対し「資源の有効活用の観点から需要に見合った販売を行ってほしい」という通達を最近出しました。
 さて、今年の「恵方巻」では企業が、国民がどんな動きをするのか。大いに関心を持って見守りたいと思います。恵方巻が食べたい人は、静かに自分で作って欲しいものです。
(ご利益あれ!)

マンスリーレターNo.99(2019年1月25日)から