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まちだより
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柿取り 大作戦 顛末記

 

 2月となりました。

 もはや寒すぎて、去年のあの夏の酷暑でさえ、まさしく「喉元過ぎれば熱さを忘れる」と懐かしく思い出されます。そしてあの夏の置き土産として、短い秋に1つだけ良いことがありました。それは、庭の柿が爆発的に大豊作となったのです!

 毎秋、カラスと喧嘩しながらもちょいと収穫した柿を隣家数軒にお配りしていたのですが、今回それだけではさばききれず、もう常軌を逸した柿たちの群勢を目にすると、だんだんストレスになってきました。とにかく、毎朝起床するやいなや、柿取り大作戦を開始。
 サビついた柿取り棒(半分バネが壊れている)を、たわわに実った柿ども相手に、孫悟空の如意棒の如く振り回し格闘していたのですが、ひょんなことから終わりがきました。
 「柿の木は折れやすいから絶対登るな、柿取りは命取り」とのご近所さんアドバイスに、「神奈川県主婦、柿取りで窓から落下!」という自分のイメージ記事が頭に浮かび、すっかりヤル気を無くしたのです。
 もうこうなったら植木屋さん頼みだと、まずは区役所のシルバー人材センターに連絡すると、「職人が高齢者なので登れる高さの規定あり、柿取りは無理」とバッサリ。次に探した造園会社は「こんなに高い木の柿取りは危険。伐採だけならツゲ、サルスベリなど合わせて3本で10万円」との予期せぬ見積もりに仰天却下。最後に望みをかけて、折込チラシの植木屋さんに連絡を取ると、「柿取りOK、他の木を伐採しても、込みで4万円」という、地獄で仏に出会ったような良心的な職人さんが一人でやってきたのです。
 そして、あっという間にヒョイと幹に命綱を掛け、スルスルと登っていくではありませんか!そしてその収穫数、なんと100個!感激のあまり30個くらいを帰りがけにお裾分けすると「柿食うと血糖値が上がりますんで、いらないっス」と一言残して軽トラで颯爽と帰っていきました。

 日本一を思わせる柿取り名人の技に「これこそがプロの流儀」と、最敬礼でお見送りしたのは言うまでもありません。

 
映像:坂口行雄
文と写真:町田香子

 

 

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