連載コーナー


まちだより
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冬の華

 長崎の後輩から、梅の花の上で鳴くウグイスの写メが送られてきました。梅に続いて、春の花であるフリージアやチューリップが咲き始めればその華やかさに、冬の花であるシクラメンやスノードロップの影が薄くなり、今その花々に愛しさが募ります。

 冬の花といえば、記憶に残っている映画があります。40年以上も前に観た、字は違えど「冬の華」です。高倉健主演の映画でしたが、はっきりと記憶に焼き付いていのるは、出所したケンさんが、組が用意したアパートでパンにイチゴジャムをつけて食べるシーンです。それも真っ白な食パンと真っ赤なイチゴジャムのコントラストが鮮やかで、パクつくかと思いきやジャムの香りをかいでから、再びテンコ盛りに乗せてかぶりつくケンさんの姿が印象的だったのです。20歳の私は、鉄格子から放免になった男の人は、こんなに美味しそうにパンを食べるのかと、ビックリしましたし、あれほど真っ赤で綺麗なジャムには2度とお目にかかったことはありません・・・。

 今や、ケンさんも亡くなってしまい6年がたちます。命日は、父と同じ2014年の11月でした。ケンさんが、ジャムなら、父はマーマレード派だったし、おまけにアンパンには必ず「おい、バターだ!」なんて言ってたなあと思い出にふければ、冬の草原にポツンと立つような寂しい自分がいます。なぜか、冬の花たちよ、春の花に押されず、いつまでも元気で咲き誇っていいんだよとつぶやきたくなりました。

 

(写真と文 町田香子)