連載コーナー


まちだより
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本に囲まれる幸せ

 自粛生活もなんとか明けて、私にとって一番嬉しいのはなんといっても図書館の再開です。といっても館内の閲覧はまだできませんが、ネットで予約していた本の受け取りが可能になりました。開館前日に7冊にも及ぶ「予約本・確保」メールを見たときには、図書館に行く事がまるで、明日の遠足を心待ちにする小学生のようなワクワク感に包まれました。まさに、私の巣ごもり生活からの初の脱却行動です。待ちに待った7冊を自宅の机上にドカンと乗せたときの私のニンマリ顔は、多分、不労所得で100万円の配当金を貰った株主のような、いや、予想屋からのアドバイスで大穴を当てた競馬ファンの喜びの顔だったかもしれません。

 しかしながら、ここからです。長く待たされた割には、肩透かしを食らうことは必ずあるんだと思い知らされたのは。「高倉健・その愛」は、筆者である養女が書いた内容がどうにも納得がいかず途中で投げだし、またタイトルが気にいった「ハジの多い人生」というエッセイ集は、どんなくたびれたオジサンの笑える黄昏た内容かと思いきや、Web育ちでニューヨーク在住の綺麗な女性で、その幸せ感満載についていけませんでした。

 でも、くじけず読書生活を敢行、最後の7冊目に、思いがけない本との出会いがありました。国民的人気者・寅さんをとその周辺人物をめぐる謎を検証した「車寅次郎の不思議」です。時代を問わず、26年間48作にも及ぶ寅さんシリーズの寅さんの温かでシャイな性格に触れて、現在も続くコロナ騒動の不安な日々をしばし忘れました。そして、この本の完読後に思いがけないハプニングが!ある会合で、地元の49歳の若手社長と話す機会がありました。彼曰く「渥美清さんの息子さんの田所君とは高校時代にクラスメートだったんです。息子って知らなくて、『寅さんて、メチャクチャ面白いよな。俳優は渥美清が最高だし、歌手は絶対Nだぜ!』と言ってたらその後、田所君から、歌手Nのサインを突然プレゼントされたんです」とのこと。やっぱり寅さんは、良いパパだったのだなあと思いました。

 

(写真と文 町田香子)