第18

 

《谷崎潤一郎を めぐる人々と着物》
事実も小説も 奇なり

2021.10.2-1.23 東京都 弥生美術館
 

 お正月明けの1/8、文京区の住宅街にある弥生美術館を訪れた。住宅街のなかでひっそりと佇んでいる小規模美術館、訪問者が気構えなくふらりと立ち寄れる門構えである。1984年6月、弁護士・鹿野琢見によって創設された私立美術館、初代館長は竹久不二彦(竹久夢二の次男)が務めていた。
 『細雪』を読んでいる最中であり、今展覧会はぜひとも訪れてみたいと数か月前から準備をしていた。以前、日本語の美しさでは三島由紀夫と谷崎潤一郎(1886-1965)と語る人がいて、それ以来、谷崎にはどこかで必ず出会わなければならないと思っていた。そこで読み始めた『細雪』と今回の展覧会訪問である。
 美術館入り口の案内板冒頭「谷崎は、もう少し長生きしたら、ノーベル文学賞を受賞した」にそうだったのかと驚き、文豪の肩書を持つ谷崎に敬意を表し仰ぎ見たい気分になった。
 ところが、館内を進むにつれて、うわさに聞いていた(笑)谷崎の女性遍歴は波乱万丈に満ち、驚きを通り越して驚愕してしまった。社会の枠におさまりきれず、周りの好奇の目をものともせず感情の赴くまま自由奔放に愛を求めて生きていったのであろう、そしてその結晶が文学の魅力と化し、ノーベル賞に値するまでに昇華させていったのであろう。数々の写真や書簡がうわさ話ではなく事実を雄弁に語っていた。

 最初の妻千代は良妻賢母タイプだったので谷崎は落胆したという。ここから私自身の男性の妻へ求めるステレオタイプ化されていた理想像が崩れ始めた。文学作品の源泉になったであろう女性遍歴をここに簡単にまとめてみようと思ったが、どこから整理したらいいかわからず根を上げる結果となった。「小田原事件」と9年後の「妻譲渡事件」には絶句する。

小田原事件  妻・千代を佐藤春夫に譲るという前言を翻したため、佐藤と絶交する。

妻譲渡事件  小田原事件で絶縁状態になった谷崎と佐藤だが、のちに和解。谷崎は千代と離婚して20才年下の丁未子(とみこ)さんと再婚、佐藤はとうとう千代と結婚することとした。3人の連名で出した声明文「私たち3人は相談してこのような結果になりました。谷崎と佐藤はこれからも仲良くやっていきますので、みなさんよろしく」と新聞トップを飾った。

 谷崎は悪女めいた女性に魅力を感じていたそうである。
 歌舞伎や草双紙に登場する、恋しい男のためなら、ゆすりやたかりも働くという伝法肌の女性、江戸っ子だった谷崎にとっては、馴染み深い存在だったのではないかと、解説本にある。当時、ファム・ファタルの男を破滅に導くタイプの女性像が日本でも人気を集めていて、 文学青年だった谷崎がおおいなる影響を受けたようだ。
 さて、もう一つの主人公、着物。谷崎作品のモデルになった女性に焦点をあて、彼女たちが着用した着物や装飾品が豪華に並んでいた。『細雪』の四姉妹、鶴子、幸子、雪子、妙子、それぞれの性格を捕らえ着物のデザインと色に反映されていて、四姉妹がそこにいる感覚で鑑賞することができた。着物姿の四姉妹が街中を歩くと行き交う人たちが振り向いたそうである。艶やかで粋な姿は当時の最先端のファッションであったのであろう。
 大正ロマンと着物、甘美で抒情的である。『細雪』の後半の展開は如何に。

(20221.1.10)

 

 

  

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松本様 今年もよろしくお願いいたします。

松本様

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島崎 陽子

 

【葛飾図書館友の会 読書クラブ】

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2/19(土)15時~17時  無料

谷崎潤一郎 『細雪』 

 

■第9回 2/11(金・祝) 15時~17時

谷崎潤一郎 『細雪』

場所:東京都 葛飾区立中央図書館(常磐線金町駅徒歩1分)

会議室1 参加費:無料

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