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知人で人形劇団の女座長から「人数が足りないから手伝って!」との突然の連絡が入りました。
やったことが無いので裏方ならと気軽にOKしたら、詳細メールを見てビックリ。東京の高齢者施設に行くこと、そして出し物は「牛に引かれて善光寺参り」と、すでに決まっていると言ってくるではありませんか!もっと、驚いたのは、「町田さんは『牛』になってもらう」というのです。学生時代のあだ名が体つきからか「吉岡牛子(うしこ)」(吉岡は旧姓です。)だったのを懐かしく思い出しながらも、そもそも「牛に引かれて善光寺参り」という昔話はなんだっけ?と調べ直しました。
すると、信心の無い老婆が干していた布を角にかけて走っていく牛を追いかけると、善光寺に行き着き、のちに心を入れかえ熱く寺を信仰したという話で、「思ってもいなかったことが他人の誘いで好転する」という、まったく私のためにあるようなことわざだとわかりました。 老婆よりも主役の「牛」をゲットしたのだから、牛になりきろうと真摯に考えを新たにしました。小道具などは全て団員さんの手作りで、練習時間は私だけ当日の本番前の30分だけでよいという手軽さでしたが、私の緊張度は大変なものでした。心臓がドキドキして出番の予定よりも早く「牛」の私が飛び出してしまい、出演者たちが下を向いて失笑しているのも気が付きませんでした。座長からは「最後は牛を持って会場を『モーモー』言いながらフェイドアウトして!」という演出があったのですが、ここも思いっきり自分で盛ってしまい「暴れ牛」のようだったそうです。 観客のおばあちゃまたちから、やんややんやの拍手をいただき、「役者と乞食は三日やったらやめられない」と実感しました。また、お声がかかれば「牛」でも「馬」でもお手伝いしたいなと思います。
座長曰く「今日のお客さんで今年が善光寺の記念すべき7年目のご開帳だと知っている方は1人もいなかった」そうです。
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